元警察官ケイの警察ブログ

市民側からはわからない警察官の本当の姿を伝えるブログ

110番指令を受ける刑事課員、次の一言が「こ」ならガッツポーズ、「へ」と「か」の場合は?

今回は、刑事課員たちが110番無線指令で自分の署が呼ばれた際、

「こ」で始まればガッツポーズして喜び

「へ」と「か」で始まるとがっくりと肩を落とすという話

 

これはどういうことか

警察の刑事課特有の事情を紹介していきます

 

刑事課


刑事課員の時、夜勤中の深夜帯は何も事案がなくても署にいることは少なかった。

ほとんど捜査車両で外に出て、コンビニやパチンコ店、公園の駐車場などで寝ていた。

これはパトカー勤務ではできないこと。

パトカーで制服で寝ていたら、それを見て通報するようなヒマ人がたくさんいる。

しかし覆面捜査車両で、作業着であればわからない。

そして、刑事課事案が入ると動き出す

夜勤は大体そんな感じだった。

警察官がもつ特殊な能力のひとつに、

自分の管内の無線指令だけはなぜかしっかり反応する

というものがある。

警察署に勤務する警察官はいつでも無線を聞いている。

パトカーにも覆面車両にも無線が積んであって、車内では流れている。

110番はひっきりなしに入ってくる。無線が途絶えることはほとんどない

「〇〇署管内、酔っ払いの騒ぎ。場所は・・・・」
「続いて○○署管内は、車上狙い、場所は・・・」

自分が勤務する警察署以外の通報もたくさん流れている

無線が流れているからと言って、常にすべて耳を傾けて聞いているわけではない

勤務員同士で大きな声で笑い話をしている時もあるし、車内で寝ていることもある。

そんな時は無線が流れていても、ほとんど意識して聞いていない。

「聞く」と「聴く」のちがいの意味で合っているだろうか。

例えば、本を読みながらテレビをつけている時。

意識は本に集中している。

その時は、テレビの音声は耳には入ってきているけど、内容は頭に入っていない。

それと同じ感覚。

意識は別のことにいっていて、無線の声は耳に入ってきているだけ。

しかし、これは警察官の職業病のひとつ。

まったく意識して聞いていない無線でも、自分の管内の無線が入ってきた時には、なぜかすぐに反応してキャッチする。

「〇〇署管内・・・」

「あ、うちだ」

大声で話していた時でも、自分の管内の無線が入った瞬間に会話を止めて無線に意識がいく。

この病気が重症なのは、寝ている時でも反応することだ。

車内で数人で寝ている。

必ず誰か一人は反応する

絶対に反応しない強者もいたが。

しかし、自分の署の無線が流れたとしても、まだ自分たちの仕事になるかどうはわからない。

私たちは刑事課員。刑事課事案でなければ、動く必要はない

「○○署管内、けんかの通報・・」
「○○署管内、当て逃げの通報」

これなら仮眠を続けられる。

しかし、私たちが刑事課員がもっとも緊張が走る瞬間がある

その恐るべき無線の出だしがこれ

「○○署管内、消防からの転送、」

消防に入った通報で、警察も行く必要がある事案の場合、消防から警察に通報が転送される

そしてこの「消防からの転送」の次に何が来るか。

これが3つのパターンがある

ひとつが「交通人身事故」。

この交通の「こ」だった瞬間、私たち刑事課員は安堵する。

「消防からの転送・・交通人身事故、場所は・・・」

これは交通課の仕事であり、刑事課員には関係ない。仮眠を続行。

しかし、残りの2つのパターンの場合、これは刑事課の仕事の中でもかなり負担の重い大仕事の襲来になる

それが「へ」と「か」から始まる事案。

「消防転送」・・。緊張が走る

頼むぞ頼むぞ。「こ」が来い。今日は(も)夜は寝たいんだ。

しかし、大砲が発射される

「へんし(変死)の通報」 または 「かさい(火災)の通報」

がっくりと肩を落とす。

入ったしまった・・・・。

これで今夜は一睡もできない。

状況によっては、夜勤明けも夕方まで帰れない。

しばらくの沈黙の後、誰かが言い出すのを全員が待っている

「・・・・行きますか」
「行くしかないよな」

車内は重い空気。

無線を入れる

「現場向かいます」

はぁ・・・。

眠そうな顔の人たちが乗った車はゆっくりと発進していく。長い夜が始まる。

チキショー!

いいよな、通信指令課は。座って無線してればいいんだからよ。バカ野郎!

完全な八つ当たり。

 

これが刑事課員の110番指令の本音だ