元警察官ケイの警察ブログ

市民側からはわからない警察官の本当の姿を伝えるブログ

警察官の仕事4「刑事部・刑事課」

警察官の仕事を紹介するシリーズ。今回は

刑事課・刑事部の仕事

刑事

私も刑事課勤務をしていました

刑事課・刑事部の仕事は、一言で言うと

刑法犯の捜査

です

刑事の「刑」とは刑法犯

刑事の「刑」というのは「刑法」のことを指してると考えて下さい。

刑事罰」といいう意味では、交通課も生活安全課も刑事罰を科す捜査は行います。

刑事部・刑事課が扱う仕事は、刑法事件に関する捜査がメインになります。

具体的には
窃盗(ひったくり、空き巣、車上狙い、すり)
暴行・傷害
殺人・強盗
強姦・強制わいせつ
詐欺
選挙違反
放火・器物損壊
暴力団関係
誘拐、人質

こういった刑法で定められた犯罪の捜査を行うのが刑事課のメインの仕事です

 

捜査とは?

捜査の目的とは何か

私が警察官になって初めてしったことのひとつが、この「捜査とは」何かということでした。

私も含め多くの人は、捜査の目的は犯人を捕まえること、だと思っています

でも、それは捜査の目的の一つであって、最終目的ではないんです

捜査の最終的な目的は、裁判で犯罪を証明できる証拠を揃えて検察官に渡す(送致・送検)ことなのです。

逮捕が最終目的ではありません

刑事ドラマでは被疑者を逮捕してめでたく終了、というパターンが多いようですが、実際の刑事の仕事で大変なのはここからです

逮捕した被疑者が間違いなく犯罪を犯した本人であることを証明するために、膨大な仕事をしなくてはいけません

取調べで供述を得られればすべてその裏付け捜査をします

「あの日は9時頃に〇〇駅から電車に乗って〇〇駅で降りた」

と言えば、防犯カメラの確認や、交通電子マネーの利用履歴の確認

「強盗に使った刃物は〇〇町にある〇〇という店で買った」と言えば、その店に行き防犯カメラや、購入履歴の確認、犯人の家の家宅捜索をしてその品を探す

品が出て来れば指紋採取などの鑑識活動

こういった膨大な活動を積み重ねて、「間違いなくこいつが犯人です」という証拠を揃えて、それを検察官に送る

これが捜査活動なのです

 

犯罪捜査以外にも負担の多い仕事が変死と火災

犯罪事件に該当するものでなくても、例えば自殺や孤独死などの変死、失火による火災の究明なども刑事課の仕事となります。

これも膨大な作業で、本当に負担の多い仕事です

警察官の中でダントツで死体を扱う件数が多いのが刑事課です

私も刑事課の時はほぼ毎勤務死体の仕事をしていたような気がします

刑事の仕事については私自身もやっていたので、別の記事でいろんな話を紹介しています

 

刑事は警察官の中でも人気ナンバーワンだけど・・マジできついよ

刑事になりたくて警察官を志す人は多い。

テレビドラマでも一番多いですね。

しかし実際の刑事はドラマとはかけ離れています。

刑事ドラマはファンタジーです。

刑事の現実はどうか。少しだけ例を挙げると

作業着で何時間も死体業務をしたり、

灰だらけの火災現場で真っ黒になりながら原因調査したり

きつくて汚くて過酷な激務です。

 

警察署の刑事課の中はこんな感じ

刑事課

刑事課の中は業務によってこのように担当が分かれています。

ここに覚せい剤など薬物班が入るところもあります。

では、それぞれの班の業務内容を紹介します

鑑識

鑑識は
指紋やその他証拠資料の収集
写真関係
科学捜査
警察犬
などが、物的な証拠を取り扱う専門部隊です。

本当に専門的な仕事であり、鑑識は刑事課の中でも一目置かれる存在です。

鑑識

また、変死でも大きな役割を果たします

死体の状況を詳細に調べる検視をします。

死体の仕事については、この後強行班のところで詳しく書きます。

庶務班

統計や記録、事件の管理などを行います。

また、もっとも大切な業務のひとつとして、証拠品の管理があります。

盗班

窃盗事件を専門に捜査します。

窃盗事件といっても、手口はいくつもあります。

空き巣、出店荒らしなどの侵入窃盗

車上荒らしやひったくりなどの屋外窃盗。

自動車盗やオートバイ盗などの乗り物盗。

警察が受理する犯罪の中で、ダントツで多いのが窃盗事件です。

その窃盗事件を捜査し、泥棒たちを捕まえるのが盗犯です。

強行班

殺人、強盗、傷害、

こういった他害行為に対する捜査を担当します。

窃盗と比べ事件の数自体は少ないですが、一件一件がでかい重要事件になることが多いです。

また、この強行班にとって大変なのが変死です。

変死も強行班の担当になります。

孤独死、自殺など、原因不明の死体が発見されると、事件性がないかどうかを調べなくてはいけません。

死体をくまなく調べる検視という仕事をすることになります。

これは鑑識班と一緒に、強行班が担当します。

ただし、鑑識班や強行班でなくても変死は必ずやることになる

私は死体は触りたくないから、刑事課員になるなら盗犯や知能犯になろう、と思っているあなた。

残念ながら、刑事課員になるとどの班に入ったとしても、必ず変死はやることになります。

盗犯でも暴力でも知能でも。

なぜか。

当直があるからです。

夜間帯は、それぞれの班から一人か二人ずつの当直体制になります。

その夜間帯に変死が入ると、その当直員たちでやります。

その時には、盗犯も知能も関係ありません。

刑事課員になったら死体は絶対に避けられないのです。

暴力団

暴力団担当です。

暴力団による事件、暴力団の情報取集などを行います。

暴力団員よりも暴力団のような風貌をした人たちばかりです。

警察署の中で、暴力団のような人たちを見かけたらそれは暴力団担当の刑事たちでしょう。

見かけは暴力団員よりも恐いですが、話せば、、、そんなに悪い人たちではないです。

 

知能班

主な業務は詐欺です。

詐欺というと無銭飲食や無賃乗車などがありますが、なんといっても最近は振り込め詐欺

これが多発するようになってから、知能犯の仕事は激増したと思います。

最近は振り込ませるのではなく、警察官などのフリをして受け取りに行く詐欺の手口が多いので、もはや振り込め詐欺とは言えませんね。

詐欺以外にも、選挙違反などの捜査もします。

今年は、全国で選挙があるから、知能犯は休みなくスーパーブラック勤務をしていることでしょう。

知能犯もかなり大変な仕事です

 

これが刑事課のそれぞれの仕事です。

都道府県やそれぞれの署で多少の違いはありますが、大体こんな感じです。

刑事課といっても、その中で担当する仕事によってやることは大きく違うんですね

次回は生活安全課や警備課の仕事について紹介します